精神疾患

感情がなくなる病気「失感情症」とは?症状や改善方法について解説

感情がなくなる病気「失感情症」とは?症状や改善方法について解説

精神疾患の中には、自分の感情が上手に表現できないといった症状が現れるものもあります。周囲から「空気が読めない」「感情がない」と言われがちな人は、このアレキシサイミアの傾向が強く出ているのかもしれません。

本記事ではアレキシサイミアについて概要や発症の原因、具体的な症状、改善方法などを解説しています。

感情を表現することに対して苦手意識をお持ちの方は、ぜひ最後までご一読ください。

感情がなくなる病気「失感情症(アレキシサイミア)」とは

失感情症とは、アレキシサイミアという性格特性を日本語に当てかえた言葉です。

具体的には自分の感情を認知したり、感情を言葉で表現したりすることに対して障害を抱えている状態のことを指します。

つまり失感情症といっても実際には病気ではありません。アレキシサイミアは、あくまで一つの症状や性質として捉えるべきでしょう。

もちろん、アレキシサイミアの傾向がある人も喜怒哀楽といった感情を持っています。しかし、自分の感情が変化したことに気づかなかったり、他人から今の感情を聞かれても答えられなかったりする性質があるのです。

基本的に人間は言葉に支えられて認知を行なっているのですが、アレキシサイミアの方は自分の感情が既存の言葉に当てはまっているのかの判断ができません。

そのため自分の感情を認知することが難しいのです。

また失感情症の傾向を全面的に強く持っている人もいれば、一部だけアレキシサイミアの性質を抱えている人もいるため、発現の度合いは実に多様です。

失感情症(アレキシサイミア)の具体的な症状

アレキシサイミアの具体的な症状としては、主に下記の3点が挙げられます。

  • コミュニケーションが苦手になる
  • 摂食障害や依存症
  • 統合失調症・心身症・うつ病への発展

それぞれ順番に解説します。

コミュニケーションが苦手になる

まずアレキシサイミアを発症することで引きこもりがちになり、人との接点が少なくなってしまうことが考えられます。それにより、コミュニケーション自体に苦手意識を持ってしまう人も少なくありません。

コミュニケーションが苦手になることで、より塞ぎ込んで悪循環に陥ってしまうこともあります。

摂食障害・依存症

アレキシサイミアを発症すると、ずっと漠然とした嫌な気持ちが付き纏います。

つまり、アレキシサイミアの患者は、常にストレスを感じている状態に置かれてしまうのです。ストレス状態にあることで、過食症や拒食症といった摂食障害を引き起こすこともあります。

自分の気持ちを上手く表現できないので、本能的に代替物で気分を解消しようとすることがよくあるのです。

また人によっては興奮作用のある薬物に依存してしまう傾向も見られます。そのため薬の過量投与にも注意が必要です。

統合失調症・心身症・うつ病への発展

失感情症になってしまうと、本人ですら抑圧された感情やストレスに気付くことができません。

そして心への負担が継続的に増えていき、意識しないまま非常に重たいストレスがかかっていることも珍しくありません。その結果、うつ病や心身症にまで発展してしまうケースもあります。

アレキシサイミアがうつ病や心身病に発展してしまうと、治療を行うのにさらに時間を要することとなります。

初期の段階と比較すると、より深刻な症状を引き起こすこともあるでしょう。

また感情が抑圧されている状態はアレキシサイミアではなく、統合失調症やうつ病の陰性症状である可能性も考えられます。

特に統合失調症の場合は早期治療が非常に重要となるので、症状の原因を知るためにも早めに精神科を受診することをおすすめします。

ちなみに統合失調症については下記の記事で詳しく解説していますので、症状など気になる方はこちらも併せてご覧ください。

統合失調症の初期症状として見られる症状を解説します

失感情症(アレキシサイミア)の原因

アレキシサイミアの主な原因としては、生得的要因とストレスの2つが考えられます。

どのようなきっかけでアレキシサイミアを発症してしまうのか、詳しく見てみましょう。

生得的要因

アレキシサイミアの原因について、まだはっきりとしたことは分かっていません。

ただ遺伝的に生まれ持った生得的要因が大きく影響しているのではないかと見られています。

また家庭環境や特定の出来事に起因して、アレキシサイミアの傾向が現れているとする説もあります。特に親が子どものことを無視するような家庭で育った場合、子どもは気持ちを他人に伝える意味が理解できず、周りの人の気持ちもわからないまま育ってしまう恐れがあるのです。

その結果、アレキシサイミアの傾向を持ちやすいともいわれています。

ストレス

失感情症の方は、自分のストレスに気付かない場合も少なくありません。

そのため周りの人からは一見ストレスに対して強い人だと思われがちです。辛い状況に置かれても感情を表に出せずに、周囲から我慢強い人だと見られる傾向があります。

ただしストレスがどんどん蓄積することによって失感情症に発展することがあります。

失感情症(アレキシサイミア)を改善するには?

アレキシサイミアを改善するためには、抱えているストレスを軽減させるとともに、きちんとストレス解消をする方法を知って実践していくことが大切です。

アレキシサイミアを改善するには、まず自分や他人の気持ちに興味を持つところから始めましょう。そもそも感情とは複雑なものなので、言葉で表すことは決して簡単ではありません。

しかし、自分の感情を大まかに伝えることができ、他人の気持ちも何となく理解できる方が生活は豊かになるケースも多いです。

一般的な感情を大まかに分類して、そこに当てはめていくなどトレーニングを行い、徐々に症状の改善を目指していきましょう。

アレキシサイミアの場合、病気ではないので治すというより上手に付き合っていくことが大事です。

精神科を受診するとともに、カウンセリング等も活用しながらアレキシサイミアの症状と付き合っていきましょう。

特に、アレキシサイミアの改善にはカウンセリングの活用が有効的とされています。

最初は上手く話せないかもしれませんが、集団精神療法でお互いをフィードバックしながら治療していく方法もあるので、肩の力を抜いて治療に取り組んでみてはいかがでしょうか。

感情の変化が見られなくなったら精神科を受診しましょう

失感情症は実際には病気とは異なり、一つの症状・性質というべき状態です。

そのため、アレキシサイミアに対しては治療という発想ではなく、症状と上手に付き合うという発想で向き合っていくことが大切になります。

感情の変化が見られないという症状は、アレキシサイミアの他に精神疾患の陰性症状であるケースもあります。中には統合失調症やうつ病の陰性症状として、失感情症のような症状を発症していることもあるため注意が必要です。

その場合は、これらの疾患についてきちんと治療を行うようにしましょう。失感情症の原因をはっきりさせるためにも、まずは精神科を受診することをおすすめします。

銀座の診療内科の梅本ホームクリニックでは、在宅医療にも対応しています。

そのため、アレキシサイミアの症状によって引きこもりがちとなり、家から出ることを拒否する場合でも効率良く治療を行うことが可能です。

アレキシサイミアの症状について気になることがあるという方は、一度お電話でお気軽にご相談ください。

梅本ホームクリニックの在宅医療についてはこちら