オンライン診療におけるAIの活用とは?活用例をもとに解説

オンライン診療におけるAIの活用とは?活用例をもとに解説

AI技術の発展により、新しい医療の形としてオンライン診療が注目されつつあります。オンライン診療は2018年に保険適用を受けたばかりのサービスですが、実施する医療機関は徐々に増加してきており、令和3年時点では16,843もの医療機関で実際に採用されています。

 

AIを活用したオンライン診療はこれからますます活用が予想されるので、医師や患者様はメリットやデメリット、活用例をしっかりと理解しておくことが大切です。この記事では、AIを活用したオンライン診療について解説します。

 

オンライン診療とは?

厚生労働省が2018年に発表した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」によると、オンライン診療の定義は以下のとおりとなっています。

 

遠隔医療のうち、医師-患者様間において、情報通信機器を通して、患者様の診察及び

診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。

※遠隔医療=情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為

 

つまり、インターネットでビデオチャットシステムなどを活用して診察や疾患の診断、薬の処方までを行うことが、オンライン診療と呼ばれるというわけです。

 

ちなみに遠隔医療には、ほかにも以下の2つの医療行為が含まれています。

 

  • オンライン医療推奨
    →患者様様の症状に応じた医学的判断をして、医療機関への受診を推奨する行為
  • オンライン健康相談
    →医師や医療従事者による健康相談やアドバイスする行為

 

上記の2つは遠隔医療の一種ではありますが、オンライン診療のように具体的な診断や治療方針の決定、薬の処方などはできません。逆を言うと、診断から薬の処方までワンストップで可能なのが、オンライン診療の特徴です。

オンライン診療のメリット

診察というと、従来は医師と直接顔を合わせて適切な治療法を判断してもらうことが一般的でした。このプロセスをオンラインで完結させることで、医師や患者様はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

ここからは、オンライン診療の具体的なメリットについて見てみましょう。

 

自宅や外出先で診察を受けられる

オンライン診療は、スマートフォンやパソコンなどを通じて行うことが可能です。インターネット環境とデバイスがあれば、自宅や外出先から診察が受けられるため、患者様の時間や移動の手間を大幅に低減できます。

 

受診したい医療機関が遠方にある方や、年齢や疾患が原因で体力がない方も、オンライン診療であれば負担を抑えて安心して受診できます。場所や時間に制限されないのは、オンライン診療がもつ最大のメリットでしょう。

 

感染リスクが少ない

近年オンライン診療が注目されはじめた理由の一つが、感染症リスクの低減です。

新型コロナウイルスはもちろんのこと、インフルエンザやノロウイルスなど、医療機関にはさまざまな感染症のリスクがつきものです。重篤な疾患を抱えた患者様の場合、感染症への罹患によって命の危険にさらされてしまうおそれがあります。オンライン診療であれば自宅で診察を受けられるため、感染症を防いで安全に受診してもらうことが可能なのです。

 

また、オンライン診療は院内感染のリスクも低減できます。感染症リスクが高い患者様に対してオンライン診療を実施することで、医療スタッフやほかの患者様を守ることにもつながります。

 

待ち時間が不要

医療機関が抱える課題の一つに、待ち時間の長さが挙げられます。場合によっては診察を待つだけで半日かかってしまうこともあり、体調に不安を抱える多くの患者様にとって大きな負担となっているのが現状です。いつもの薬をもらうためだけに、何時間も待つことに不満を抱いている患者様は少なくありません。

 

オンライン診療の場合、予約を入れてもらった時間にビデオチャットを繋げることですぐに診察ができるため、患者様の待ち時間を最低限に抑えることができます。会計はクレジット決済やオンライン決済が可能ですし、薬も近くの薬局で受け取れるため、会計や薬の受け取りにかかっていた時間も削減できます。

 

オンライン診療のデメリット

オンライン診療にはメリットが多い反面、デメリットも存在しているため注意が必要です。メリットとデメリットの双方を理解したうえで、目的に合わせて活用していくことが肝心です。

 

処方できる薬に制約がある

オンライン診療では、すべての薬を処方することはできません。麻薬や向精神薬は、オンライン診療で処方することが禁じられています。

医師がオンライン診療を実施するときは、患者様が使用している薬や処方を希望している薬について把握し、処方が可能かどうかを確認しておくことが肝心です。またトラブルを防ぐために、患者様自身も処方を希望する薬がオンライン診療に対応しているかどうかについて、主治医にしっかりと尋ねておきましょう。

 

急変に対応できない

ビデオチャットで診察をするため、患者様の急変には対応できません。急変してもその場で処置したり検査をしたりすることは不可能なので、場合によっては対応が大幅に遅れてしまうこともあるでしょう。

また、オンラインでは触診や聴診などを通した詳しい診察ができないため、診断を下せない病気もあります。その影響で正確な診察ができず、患者様の病状が悪化して急変を招いてしまうリスクにも注意が必要です。

 

オンライン診療におけるAIの活用例

現在、オンライン診療を実施している医療機関は数多く存在していますが、医療機関では実際どのように活用されているのでしょうか。オンライン診療はそれだけでも有用性の高い医療行為ですが、AIの技術と組み合わせることで、より良い医療の提供に役立ってくれます。

最後に、オンライン診療におけるAIの活用例について見ていきましょう。

 

デバイスを用いた見守り

AI機能を搭載したデバイスを活用すれば、患者様の見守りが可能となります。

 

AI搭載カメラなどを自宅に設置しておけば、患者様の体調の変化を検知したときに医療機関へ知らせてもらえます。人の目では常時患者様を見守ることができませんが、デバイスを活用すれば24時間365日様子を把握できるようになるでしょう。

 

高齢者や急変が心配される患者様の場合は、デバイスを用いた見守りができると安心です。AIを用いた見守り技術は今も積極的に開発されており、オンライン診療が苦手とする急変への予防策として活用されています。

 

最適な情報提供

AIは、膨大なデータを繰り返し学習して適切な判断を下す手助けをしてくれる技術です。オンライン診療でも、AIの技術は最適な情報を提供してくれます。

たとえば、患者様のプロフィールや症状、既往歴などを入力したときに病名を表示してくれる「カルテ解析」や、患者様の回答に合わせて適切な問診を進めてくれる「AI受信相談ツール」などが実際に活用されています。

従来のオンライン診療では、得られる情報が限られてしまう点がデメリットでした。蓄積している膨大なデータをもとに適切な情報を提供し、診断をサポートしてくれるAIは、医師の頼れる味方になってくれるでしょう。

 

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大で注目を集めているオンライン診療。オンライン診療には感染症対策以外にも多くのメリットがあり、患者様の負担軽減に大きく貢献してくれます。

 

ただし、対面で患者様の様子を観察できないオンライン診療には、限界があることも事実です。オンライン診療を過信しすぎず、AI技術の手助けも借りながら目的に合わせて活用することが大切です。

また、梅本ホームクリニックでは、患者様それぞれの状況に合わせた柔軟な在宅医療を提供しております。無料の電話相談を受け付けておりますので「心のケアまで行ってほしい」、「最先端の医療を受けてほしい」と思った方は、お気軽にご相談ください。

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