統合失調症

統合失調症の患者のご家族が抱えるストレスの原因と対処法を解説します

統合失調症の患者のご家族が抱えるストレスの原因と対処法を解説します

統合失調症は患者本人に病識がないことが多いため、ご家族のサポートが重要となる病気です。

しかし、患者様の介護を行う際に神経をすり減らすことが多く、ご家族がストレスを抱えてしまいやすいという面もあります。

本記事では統合失調症患者のご家族にかかるストレスの原因や、その対処法について解説しています。

統合失調症のご家族を持っている方はもちろんのこと、これから本格的な介護等が始まる方も、ぜひ参考にしてください。

梅本ホームクリニックの在宅医療についてはこちら

統合失調症の患者のご家族は強いストレスを感じやすい

統合失調症の患者様の世話をするにあたって、患者様のご家族は強いストレスを感じる可能性が非常に高いです。

強いストレスを感じやすい理由は、主に下記の2点が挙げられます。

  • 本人は病識がないことが多い
  • 本人は何が見えているのかや聞こえているのかが分からない

それぞれ順番に解説します。

本人は病識がないことが多い

統合失調症の患者は病識がないことが多く見られます。

なぜなら、統合失調症を発症すると、幻覚や幻聴、妄想といった陽性症状が引き起こされ、現実と妄想との境目を見失ってしまうケースが多く見られるからです。

病識がないので、周りの人たちが本人に病気であることを伝えるのも非常に困難です。

患者に薬を服用させようとしても、思うように服薬させられないことも多く、思い通りに動いてくれないことからご家族は強いストレスを感じてしまうのです。

病識が無い統合失調症の患者様と向き合うために、統合失調症に関する理解が必要不可欠です。

下記の記事では、病識の無い患者様と接するコツや、病気であることを自覚させる方法について解説しているため、本記事と併せて参考にしてください。

統合失調症を自覚させる方法はある?接し方の注意点も解説します

本人には何が見えているのかや聞こえているのかが分からない

妄想や幻覚、幻聴といった症状は、統合失調症の患者本人にしか分かりません。

そのため、ご家族であっても本人が何を怖がっているのかや、何に対して怖い思いをしているのかが分からず、会話に苦慮することもあります。

本人に聞いたとしても、本人が見聞きしていることを適切に伝えられなかったり、伝えられたとしても到底理解できなかったりするケースも多いです。

詳しくは後述しますが、本人から何に苦しんでいるのかを聞けないからこそ、ご家族自ら統合失調症について深く理解することが求められます。

統合失調症患者のご家族が気をつけるべきこと

統合失調症の患者様のご家族は、下記の点に気をつけてコミュニケーションを取りましょう。

  • 患者様に対して低い感情表出を行うこと
  • 主治医と情報交換を密に行うこと
  • 統合失調症に対して十分な理解をすること

それぞれ順番に解説します。

患者様に対して低い感情表出を行うこと

患者様と接する際には、低い感情表出を行うことを心がけましょう。

低い感情表出とは「批判足ない」「敵意を持たない」「感情的に巻き込まれすぎない」「褒める」「温かい雰囲気の家庭をつくる」ことを押さえた感情を見せることです。

基本的に統合失調症の患者は妄想や幻覚、幻聴といった症状により疑心暗鬼の状態に陥りやすく、他者からの反応にも敏感です。

ご家族が患者本人を責めるような態度で接していると、患者様の不信感のきっかけとなり、スムーズな治療を行えない可能性があります。

統合失調症の患者と接する時は攻撃的な態度を取らず、奇怪な言動が見られた場合でも、できる限り冷静に対応するように心がけましょう。

主治医と情報交換を密に行うこと

統合失調症の寛解のためには、専門家の元できちんと治療を行うことが不可欠です。

統合失調症の症状の経過を正しく医師に伝えるためにも、情報交換・コミュニケーションを積極的に行なっていく必要があります。

情報を的確に伝えることで、より適切な治療を行いやすくなるとともに、その分社会復帰を早められます。

また患者側も医師から情報をもらうことで、自身の病状の経過など専門的に詳しい知識を得ることが可能です。

その一方で、いくら主治医が名医であったとしても、患者様やご家族との相性が悪く、十分なコミュニケーションができなければ、適切な治療を行うことが困難になる恐れがあります。

患者との相性が悪いようなら、主治医の変更も検討するべきでしょう。

主治医との相性が悪いと感じられた際の詳しい対処法については、下記の記事で解説をしているため、併せて参考にしてください。

精神科の主治医が嫌いなときはどうしたらよい?良い先生の見分け方も紹介

統合失調症に対して十分な理解をすること

統合失調症を発症するのかどのような症状が現れるのかや、原因や経過などが分からなければ、適切な介護はできません

詳しい情報は医師にも聞きながら、統合失調症に対して適切な理解をするように努めることが大切です。

また、統合失調症について理解することで、患者本人への理解にも繋がります。

患者が現在どのような状況に置かれているのか正しく把握するためにも、統合失調症に対して十分に理解するよう努めることを推奨します。

統合失調症患者のご家族がストレスを溜めないために

統合失調症患者のご家族がストレスを溜めないために、下記の4つの取り組みを行いましょう。

  • 家族全体で役割を分担して患者を見守る
  • 入院による治療も検討する
  • ご家族向けのカウンセリングサービスを活用する
  • 訪問型の医療サービスを活用する

それぞれ順番に解説します。

家族全体で役割を分担して患者を見守る

統合失調症の患者の世話をたった一人で行おうとすると、非常に大きな負担がかかってしまい、ストレスが増幅してしまうことも考えられます。

統合失調症の患者をサポートするためには、できる限り分担して世話を行うことを心がけましょう。

なるべく一人当たりの負担を減らすように、時間や支援内容によって役割を決めると良いでしょう。

そのためには、家族の中一人に介護を押し付けるのではなく、全員が統合失調症について理解し、サポートする必要があります。

家族内でもコミュニケーションを密に取りながら、協力する体制を作り出しましょう。

入院による治療も検討する

医師が必要と感じた場合や、ご家族の希望があれば、本人の意思に関わらず入院による治療を行うことも可能です。

入院すると生活全体が治療に最適化されることとなるため、統合失調症の治療も効率良く行えます。ご家族の中で患者様の行動の制御が難しい際は、検討すると良いでしょう。

精神科への入院と聞くと、怖いイメージを抱く方も多いものの、実情としては生活全体が治療に最適化されているため、患者様にとって快適な生活を送れることが多いです。

精神科に入院した際の具体的な生活などについては、下記の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。

精神科に入院するとどんな感じの生活になる?治療法も併せて解説

ご家族向けのカウンセリングサービスを活用する

近年では、統合失調症の患者に対してお悩みの方向けのサービスもあります。

カウンセリングサービスを利用することで、ストレスを軽減するとともに、ご家族が患者に対してどのような介護を行なっていくべきなのかという点も明確になります。

ご家族が統合失調症の患者に対する正しい対応を知ることによって、強いストレスを抱え込まないよう防止する効果も期待できるでしょう。

カウンセリングサービスには無料のものや、LINEなどのチャットで相談できるものもあったりするため、気軽に利用してみると良いでしょう。

訪問型の医療サービスを活用する

統合失調症の患者を世話する上で、通院そのものが非常に負担となってしまうこともあるでしょう。

通院型の治療だと時間が限られていることも多く、医師に気軽に相談することがなかなか難しいという面もあります。

訪問型の医療サービスを受ければ、たとえ通院が困難な場合であったとしても、定期的に医師の診断が受けられます。

訪問型の医療サービスは医師との距離感が近いため、些細なことでも相談しやすいというのも大きなメリットの一つです。

ご家族のストレスを軽減させるためにも在宅医療をご活用ください

統合失調症は薬を飲めばすぐに治るという病気ではありません。

そのため、ご家族による介護が長期戦を迫られることもあるでしょう。

適切に治療を行い、社会復帰をするには統合失調症患者のご家族が病気に対して理解するとともに、適切な接し方を知ることが大切です。

ぜひ本記事を参考に、ストレスを抱え込みすぎないようにしながら、適切なサポートをしてあげてください。

銀座の心療内科梅本ホームクリニックでは、統合失調症の患者様向けの在宅医療を実施しています。

患者様に対する適切な治療はもちろんのこと、密なコミュニケーションを取りながら、ご家族のケアも同時に行うため、まずはお気軽にお問い合わせください。

梅本ホームクリニックの在宅医療についてはこちら