統合失調症

統合失調症が完治した人はいる?治療の内容や流れも解説

統合失調症が完治した人はいる?治療の内容や流れも解説

統合失調症は、幻覚や妄想などのさまざまな症状が生じる精神疾患であり、15〜35歳の方を中心に、100人に1人がかかると言われている精神疾患です。

現代の医学では統合失調症になる原因は解明されておらず、ストレスや遺伝などが関係していると考えられています。

本記事では、統合失調症の治療方法や、回復までの流れについて紹介します。統合失調症は治らない病気ではありません。

病気のことを正しく理解して、適切な治療をすることが回復への第一歩です。

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統合失調症は完治するのか?

統合失調症と自分や家族が診断された時、完治するのかどうか分からずに不安になることでしょう。

統合失調症患者のうち、どれほどの方が完治して、通常通りの生活を送っているのか気になる方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、約8割の人が回復して通常の生活をしているといわれます。

完全に回復できていなかったとしても、医師より処方された薬を内服することで、日常生活を送っている人もたくさんいます。

19世紀末には「統合失調症は進行性の病気である」と言われていました。

しかし、その後の研究により統合失調症は進行性の病気ではなく、正しい治療により症状が安定する人が多いと判明しています。

統合失調症の治療の内容

統合失調症に対して有効とされている治療には、薬の服用で症状を抑える「薬物療法」と精神状態の回復を促す「心理社会療法(精神療法)」があります。

薬物療法

統合失調症における薬物療法では、抗精神病薬が有効とされています。抗精神病薬は、脳内で活動している神経伝達物質であるドーパミンの活動を軽減させる働きを持つ薬です。

ドーパミンの活動が弱まることで、興奮や妄想といった症状が改善すると考えられています。

統合失調症は人によって現れる症状が異なるため、症状に合わせた薬を服用することが大切です。

統合失調症患者に処方される、主な薬と使用する効果は下記の通りです。

  • 抗うつ薬:憂うつな気分を和らげる
  • 抗不安薬:極度の不安や緊張を和らげる
  • 睡眠薬:睡眠障害や昼夜逆転に対して睡眠のリズムを整える

また人によって抗精神病薬によって副反応が生じる可能性があり、副反応に対する薬が処方される場合もあります。

抗精神病薬の副反応に対する薬と使用する効果は下記の通りです。

  • 便秘薬:お通じを良くする
  • 抗パーキンソン病薬:手の震えや体のこわばりを和らげる

なお、統合失調症の治療で使用する薬については、下記の記事で詳しく解説しているため、併せてこちらもご覧ください。

心理社会療法(精神療法)

統合失調症は妄想や幻覚などの症状が悪化すると、日常生活を送るのが困難になります。

それに伴い抑うつ状態になったり、他者と関わることが億劫になったりすることで、より社会復帰が困難になるのです。

そのような人に対して、日常生活を送る思考力や意欲を改善を図る心理社会療法(精神療法)が効果的です。

心理社会療法には下記のような種類が挙げられます。

  • 心理教育
  • 社会生活技能訓練
  • 作業療法
  • 認知矯正療法
  • 就労支援

心理教育では統合失調症の症状や治療方法など、正しい知識を学びます。

それにより病気に対する理解を深め、前向きに治療ができる気持ちを準備することが可能です。社会生活技能訓練は対人関係での問題や服薬との付き合い方、ストレスの対処方法などを学ぶ治療です。

専門家との対話や、数名で話し合いをするため、他者とコミュニケーションを取る人間関係に対しての治療も兼ねています。

作業療法は作業療法士と共に体操、スポーツ、手芸、などを行うことで、充実感や達成感、さらに体力の維持・向上を目指します。

認知矯正療法は記憶力、注意力、集中力だけでなく、段取りを考える力、問題を解決する力、考える速さの改善のための治療です。

統合失調症による認知機能低下に伴う「生活のしづらさ」に対してアプローチします。

就労支援は症状が軽減してきた際に、援助付きの雇用を紹介してもらえたり、人によって必要なものに対して支援をしてもらえる制度です。

それぞれの治療は、専門家がその人に合わせて内容や方法を設定してくれるため、医師の指示に従って、治療に取り組みましょう。

統合失調症が回復するまでの流れ

統合失調症が回復するまでの流れは、下記の通りです。

  1. 急性期
  2. 回復期臨界期
  3. 回復前期
  4. 回復後期

統合失調症の回復過程は、人によって異なるものの、基本的には上記の流れで回復します。

それぞれの過程について、順番に解説します。

急性期

急性期は陽性症状と呼ばれる幻覚や幻聴、過度な妄想などが最も激しく現れます。

また、正しい判断ができなくなり客観的に見ると不自然な言動や行動をする場合もあり、下記のような症状が発現します。

  • 周囲の人が自分の悪口を言っているように聞こえる
  • 宇宙人が自分を人体実験の対象にしようと狙っている
  • コンビニで買ったパンに毒が入っていると感じる

それらの影響で自身や周囲の人に危害を加える可能性があるため、適切な治療が不可欠です。

急性期では早めの受診と治療を行うとともに、症状を抑えることが最優先事項となります。

できる限り、早急に病院やクリニックに行って、専門家に診断してもらいましょう。

また、急性期の方とコミュニケーションを取ろうとすると、話が通じないケースも非常に多いです。

統合失調症の患者の会話の特徴については、下記の記事で解説しているため、併せて参考にしてください。

統合失調症の患者の会話例【実例も交えて解説】

回復時臨界期

回復期臨界期になると幻覚や幻聴などの陽性症状は軽減するものの、油断はできません。

強い陽性症状が改善することで、自身が精神疾患にかかったことを自覚するケースが多く見られます。

それによって、現状に失望したり未来に不安を感じたりする時期です。社会への復帰を焦ることによって、服薬や治療を途中で中断してしまうケースも多く見られます。

しかし、服薬や定期的な受診を自己判断で中断すると、再発の原因になるだけでなく、急性期の症状が再度発現することにも繋がります。

決して油断することなく、専門家の指示に従って治療を継続することが重要です。

回復期前期

回復期前期と呼ばれるこの時期になっても、実際はまだ通常の生活を送ることが難しい人が多いです。

なぜなら、回復期前期では、現実世界と妄想をはっきりと区別できないケースが多いからです。また、脳や心、体の疲労を自覚し始めるため、休息のために長時間の休息や睡眠が必要となります。

これによって一般的に自発的な行動ができず、集中も長続きしないため、主に家で生活することになります。

回復期前期には、下記のことを守って生活させることが大切です。

  • 専門家の指示通りに服薬を続ける
  • 焦らずにゆっくりと休む
  • 十分な睡眠時間を確保する
  • なにか始めたい感じたら、自分のペースで無理のないことに取り組む

この時期は、ゆっくり脳と心と体を休ませることを第一に考えましょう。

回復期後期

回復期後期は、今まで以上に心や体に余裕やゆとりが生まる時期です。そのため、朝にすっきりと目覚められたり、四季の変化を感じられるようになります。

回復期後期の大きな変化として自分からなにかを始めようとするケースが多く、統合失調症を患う前にしていた趣味を再開する人もいます。

  • 外を散歩する
  • テレビゲームをする
  • 映画鑑賞をする
  • 家事をする
  • カラオケに行く
  • お寿司を食べに行く

行動の幅が広がることで消費をするようになり、これを消費活動・消費行動と呼びます。

消費活動が多くなるに伴って、社会復帰を検討しましょう。

初めは短時間のアルバイトからスタートして、無理のない範囲で時間と頻度を増やします。

「半年ほど継続して働けるようなら、正社員として働くことを目指す」といったように段階的に社会復帰を目指すのです。

この際、営業職などの人と接する頻度が高い職業は選ばず、ストレスの溜まりにくい環境を選択することが重要です。

統合失調症は再発する?

統合失調症は再発リスクが高い病気であるものの、適切な治療を行えば、問題なく社会生活を送るところまで回復できます。

統合失調症の再発の主な原因は、治療の中断や、勝手な服薬の停止であることがほとんどです。

つまり、適切な治療を継続的に行えば、問題なく回復するどころか、社会復帰も行える精神疾患であるのです。

特に、回復時臨界期や回復期前期に症状が軽減してきたため、自己判断で服薬をやめることで、再び症状が現れるケースが多く見られます。

服薬は医師の指示に従うことが重要です。

統合失調症は「治療によって完治を目指す」と考えるより、「上手に付き合っていく」必要がある病気と認識することが大切です。

統合失調症の完治には精神科での治療が不可欠です

統合失調症は、治療によって症状の軽減や回復が可能な病気です。

しかし、時間が経過すれば改善される病気ではなく、自然に治ることはありません。

また統合失調症も他の病気と同様に、早期発見・早期治療が必要な病気です。統合失調症が疑われる場合は、必ず精神科医を受診して医師の治療を受けましょう。

精神科への受診を検討している場合は、銀座の梅本ホームクリニックをご利用ください。

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