訪問診療(在宅医療)と往診の違い|選び方も解説

訪問診療(在宅医療)と往診の違い|選び方も解説

近年、医療機関に通って診察を受ける「外来医療」、入院して治療を受ける「入院医療」に次ぐ第三の医療として、「在宅医療」が注目を集めています。自宅で診察や治療を受ける在宅医療には「訪問診療」と「往診」の2種類がありますが、それぞれの違いがわかりにくいと感じている方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、訪問診療と往診の違いについて詳しく解説します。選び方やかかる費用についても紹介しておりますので、自分らしく治療を受けるためのヒントとして役立ててください。

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訪問診療(在宅医療)と往診の違い

訪問診療と往診は、どちらも患者様の自宅などに医師や看護師が訪問して医療を提供することを指します。

それでは、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、それぞれの特徴について見てみましょう。

訪問診療(在宅医療)とは

訪問診療(在宅医療)とは、医師や看護師などが定期的に患者様の自宅を訪問し、診察や治療、健康相談、サポートを行う医療です。医師のみならず、理学療法士や作業療法士、栄養士などが訪問することもあり、治療だけではなく生活の質(QOL:Quality of Life)向上も目的としています。

訪問診療は、患者様と医師が相談のうえ計画的に行われる点が特徴的です。たとえば、「毎週月曜日の午前9時に自宅でリハビリしてくれる」「隔週水曜日に医師が自宅で診察してくれる」といった場合は、訪問診療に該当します。

もちろん、日常的な診察やサポートはもちろんのこと、緊急時にも対応してもらえます。多くの場合で24時間体制での対応となっており、万が一のときは提携している医療機関と連携を取りながら、入院先の手配や入院の準備などをしてもらうことも可能です。

なお、在宅医療の詳細な概要は下記の記事でも解説しています。理解を深めるためにも、ぜひ本記事と併せてご覧ください。

在宅医療とはどんなサービス?費用や条件|選び方を解説

往診とは

往診とは、自宅療養中の患者様やご家族から要請を受けたとき、その都度医師が診療に訪れることです。往診は、突発的な病状の変化があったものの、救急車を呼ぶほどではないケースなどで活用されることが多い傾向にあります。

ただし、急変があったときに行われることが基本であるため、往診してからすぐに入院となってしまうケースは少なくありません。日常的な治療を目的とした医療ではなく、緊急時の臨時的な手段である点が訪問診療と大きく異なるポイントです。

訪問診療と往診は違うもの?

説明してきたように、訪問診療と往診は目的や活用シーンが異なりますが、どちらも「在宅医療」に分類されるため、全くの別物というわけではありません。自宅で診察や治療が受けられる「在宅医療」という医療形態があり、その頻度や目的に応じて「訪問診療」もしくは「往診」を選択するという考え方です。

訪問診療は定期的かつ計画的に診療を行い、病状のコントロールや予防医学的治療も行います。また、日常的に訪問介護や介護補助なども受けることが可能です。対して往診は緊急時に行われる対症的治療で、訪問介護や介護補助などは適応外となります。

このように患者様の容態やご希望により、最適な在宅医療の形は異なります。まずはご希望を家族でよく話し合い、医師と相談しながらどのように対応していくかを決めることが肝心です。

訪問診療(在宅医療)と往診の選び方

先述したように、訪問診療にするか往診にするかは患者様とご家族、そして医師が話し合って決める必要があります。しかし、なかには「どちらを選べばいいかわからない」「医師の提案が正しいのか判断できない」とお困りの方もいることでしょう。

そこで、ここでは訪問診療と往診の選び方について解説します。ご自身やご家族にとって最良の選択をするためにも、判断基準について理解しておきましょう。

在宅で過ごしたい場合や家族との時間を大切にしたい場合は訪問診療

「住み慣れた我が家で治療を行いたい」

「自分で通院することが難しい」

「介助が難しい事情がある」

「最期の時間を家族と過ごしたい」

以上のようなご希望やお悩みを抱えている場合は、訪問診療が向いています。

訪問診療を活用すれば、患者様は住み慣れた自宅で安心して治療を受けることが可能です。また、ご家族による通院介助や介護の負担が大きく軽減できます。待ち時間の負担もありませんので、ご本人の体調やご家族の時間的負担を考えても、得られるメリットは大きいでしょう。

反対に「普段はとくに問題なく通院できる」という場合は、通院が難しい緊急時に駆けつけてくれる往診を活用しましょう。ただし医療機関のなかには、普段の様子がわからない患者様に対する往診を受け付けていないところも多く存在しています。

一概には言えませんが、訪問診療をしている患者様のみを対象に緊急時の往診を行う医療機関が多いことは、押さえておきましょう。

訪問診療(在宅医療)では介護保険や医療保険が適用される

訪問診療を受けるときは、医療行為にかかる費用のほかにもさまざまな費用が発生します。具体的には、治療の内容に応じて以下のような費用が必要となります。

  1. 訪問診療費
  2. 往診費
  3. 薬や検査など医療行為にかかる費用
  4. 訪問看護費
  5. 訪問介護費
  6. 怪我などの手当に使用する衛生材料
  7. 医師や看護師の交通費

それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

診療と医療行為にかかる費用は医療保険適用

訪問診療費と往診費、医療行為にかかる費用は医療保険適用となるため、自己負担額は所得に応じて1~3割に抑えられます。

また、「高額療養費制度」や「自立支援医療制度」、自治体によっては「こども医療費助成」を受けられます。費用負担を軽減するためにも、訪問診療の開始前に自治体や医療機関に利用できる制度がないか聞いておくと安心でしょう。

看護師にかかる費用は医療保険もしくは介護保険適用

訪問看護費については、以下のように介護保険もしくは医療保険の適用が受けられます。

  • 【介護保険】65歳以上の要支援・要介護認定者
  • 【介護保険】40~64歳で「16の特定疾病」の要支援・要介護認定を受けた者
  • 【医療保険】「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当し、要支援・要介護認定を受けた者
  • 【医療保険】介護保険の対象外で、訪問診療を受ける者

介護保険適用の場合は、所得に応じて1~3割の医療費負担となります。また、介護保険の費用上限を超えて診療を受ける場合も、医療保険が適用となります。

介護にかかる費用は介護保険

介護サービスに関しては、介護保険の適用となります。介護の際に必要となるベッドや医療器具も、介護保険の対象に含まれます。要支援・要介護度によって費用上限や適用となるサービスの範囲が異なるため、事前に確認しておきましょう。

一般的な自己負担上限額は4万4,000円ですが、所得によって増減することがあります。また、負担額が高額な場合は「高額介護サービス費」という公的制度が利用可能です。

その他の費用は自己負担

怪我などの手当に使用する衛生材料や医師や看護師の交通費などは、全額自己負担となります。診療や処置以外にも費用がかかるため、それを踏まえたうえで医療費の計画を立てることが大切です。

参考:記事往診と訪問診療の違いとは?受けるための費用も紹介

訪問診療(在宅医療)は計画的に24時間体制で対応

訪問診療をご希望される患者様は、いつ病状が悪化するかわからない方がほとんどです。そのため、担当する医師は日常的な診察や治療を計画的に行いつつ、緊急時いつでも駆けつけられるように365日24時間対応できる体制を整えています。

ただし、なかには24時間対応していない医療機関も存在しています。在宅医療に対応していても、深夜や休日に診察を受けられない場合、患者様やご家族の不安は拭えません。可能であれば、年中無休で対応してくれる医療機関に訪問診療を依頼することを推奨します。

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梅本ホームクリニックでは在宅医療で患者様をサポートします

訪問診療と往診は、どちらも自宅などに医師が訪問し、住み慣れた安心した環境で診察や治療が受けられる「在宅医療」の一環です。以下のような違いがありますが、基本的に訪問診療と往診をセットで行う医療機関が多いことを理解しておきましょう。

  • 訪問診療:計画的かつ定期的に、予防医学的治療も含めた医療を提供する
  • 往診:緊急事態の際に予定外の診療や処置を行って一時的な医療を提供する

梅本ホームクリニックでは、24時間365日年中無休で患者様とご家族の在宅医療をサポートしております。訪問診療のご希望や治療に関する疑問がある場合は、些細なことでもお気軽にお電話ください。

精神疾患の患者様は、自立支援医療で医療費負担を軽減できます。自立支援医療の書類の申請や費用などについて初回訪問時に詳細なご説明をいたしますので、お気軽にご相談ください。