在宅医療のメリットデメリット|解消方法や費用も解説

在宅医療のメリットデメリット|解消方法や費用も解説

医師による定期的なケアが必要である一方で、身体が不自由で通院が難しい方は大勢います。従来の医療では、そのような患者様は入院をする必要があり、患者様に大きなストレスを与えることも少なくありませんでした。近年、医師が自宅に赴いて診療を行う「在宅医療」が急速に普及しています。本記事では、在宅医療の概要やメリット・デメリットについて解説します。ご自身やご家族の在宅医療を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

在宅医療とは?

在宅医療とは、通院が難しい患者様に対して、医師が患者様の自宅に赴いて医療行為を行う医療のことです。従来の医療では、患者様が病院に行って医療を受けるという形でした。しかし、高齢のため通院が困難な方や、末期ガンといった終末期の方には、通院が心身への大きな負担となります。そこで、医療チームが自宅を訪問し医療を提供する、新しい医療サービスとして在宅医療が注目されています。

在宅医療のメリット

日本政府も在宅医療の推進に力を入れており、在宅医療を受ける人の数も徐々に増えています。ここからは、在宅医療を行うメリットについて解説します。在宅医療によって得られるメリットは下記の5つです。

 

  • 通院による負担が無くなる
  • ストレスが軽減する
  • 家族の目が届く場所で治療を受けられる
  • 費用が比較的かからない
  • 時間の制約が少ない

それぞれ順番に解説します。

通院による負担が無くなる

在宅医療を導入すると、医師や看護師からの診察や体調管理、処置などを自宅で受けられます。病院に通院する手間が省けるので、時間の節約になるだけでなく、移動や待ち時間による体への負担を減らせます。また、通院を行う場合、患者様の身体が不自由でご家族の付き添いが必要なことも少なくありません。在宅医療では、このようなご家族の手間がかからず、より効率的に治療を行うことが可能です。

 

また、病院は不特定多数の人が利用する場所のため、通院することにより感染症の感染リスクがあります。在宅医療に切り替えることで、感染症の感染リスクを大幅に軽減できるでしょう。

自宅で治療を受けられるため、ストレスが軽減する

病院では個室を利用しない限りは、ほかの患者様と空間をともにするため、気を遣う場面が非常に多いです。また、多床室ではカーテン一枚の仕切りのみのため、プライバシーを保つことが難しく、話し声やいびきなどの騒音トラブルも多々あります。これらの環境によって、患者様にストレスがかかってしまい、健康に悪影響をもたらすことも珍しくありません。

在宅医療の場合は、自宅で医療が受けられるので、ストレスを抱えるリスクを軽減しながら治療を受けられます。もともと入院しており、在宅医療に切り替えた患者様の中には、「よく眠れるようになった」「食欲が出てきた」というポジティブな変化を感じられる方もいます。

家族の目が届く場所で治療を受けられる

在宅医療では、ご家族の目の届く場所で治療行為が行われるため安心できます。また訪問医師はかかりつけ医としての役割を担うため、医師と家族間でコミュニケーションが取りやすく、より深い関係性を築くことが可能です。

サービス付き高齢者向け住宅より費用がかからない

サービス付き高齢者住宅とは、有料老人ホームのような施設のことです。有料老人ホームによっては高額な入居一時金が必要であったり、月々の負担が大きくなったりすることがあります。サービス付き高齢者向け住宅では、保険が適用されない一方で、在宅医療は医療保険や介護保険が適応されます。そのため、サービス付き高齢者住宅に入居するよりも費用が抑えられるのです。

時間の制約が少ない

病院に入院している時は、病院によって決められたスケジュールに従う必要があります。起床や就寝、食事の時間、お風呂の時間などすべて決まっており、時間の制約によって自由に過ごすことが難しいのが現状です。面会可能な時間が設けられているため、面会時間内に来れないご家族は、入院中に患者様の顔を見ることも難しくなります。

 

一方で在宅医療では、事前に医師や看護師などの訪問時間は決まっているものの、その他の決まりはありません。そのため、定期的な治療を受けつつも、通常の日常生活を送れます。

在宅医療のデメリット

ここまで、在宅医療のメリットについて解説しました。在宅医療には様々なメリットがある一方で、もちろんデメリットも存在します。代表的な在宅医療のデメリットは下記の通りです。

 

  • 可能な処置に限界がある
  • 家族の介護負担が増える
  • 急変時に適切な対応が難しい

それぞれ順番に解説します。

可能な処置に制限がある

在宅医療で可能な処置には限りがあります。採血やエコー、心電図などは対応できますが、レントゲンやCT、MRIといった機器を用いた精密検査や手術といった、高度な医療行為は行えません。在宅医療は積極的な治療よりも、自宅で家族と過ごしたいといった患者さんの想いや、ストレスの軽減、通院や時間制約をなくすことに重きを置いています。そのため、受けられる医療には制限が生まれてしまうのです。

 

家族の介護負担が増える

訪問ヘルパーなどの介護サービスを導入していても、患者様が自宅で生活する以上、ご家族の介護負担は増えることは確かです。もし自分で動くのが難しいのであれば、トイレの介助や食事の準備などの身の回りの世話から、体調が優れない時の対応など、介護に時間と体力を費やすことになります。その結果、生活全体を見たときに、介護負担が増える恐れもあるのです。長期の介護では、病院や施設のショートステイを利用するなどして、ご家族も休める時間を作ることが大切です。

 

急変時に適切な対応が難しい

病院に入院していれば、医師や看護師がいつでも駆けつけ、必要な検査や処置がすぐに受けられます。在宅では、万が一のことがあった場合、ご家族がかかりつけ医や訪問看護師に連絡を取る必要があります。もしもの時に備えて、医療連携体制を整えておくと安心です。

 

在宅医療のデメリットを解消する方法

メリットが多い在宅医療ですが、可能な医療に限りがあることや家族の介護負担の増加、緊急時の対応が在宅医療を導入する上での壁となります。ここからは、このような在宅医療のデメリットを解消する方法について解説します。具体的な解決法は、大きく分けて下記の3点です。

 

  • 精密検査時のみは通院する
  • 24時間訪問看護サービスを利用する

それぞれ順番に解説します。

 

精密検査時のみは通院する

CTやMRI、その他の精密検査を受ける時にのみ通院を利用することで、在宅医療を継続することが可能です。精密検査のデータを在宅のかかりつけ医と共有することで、より現状に合った医療を受けられます。

 

24時間訪問看護サービスを利用する

24時間対応体制加算に認定されている訪問看護ステーションと契約することで、24時間365日体制のサービスが受けられます。24時間対応のサービスとして、電話での相談対応や、必要時には昼夜問わず看護師の緊急訪問があります。急変時にはかかりつけ医と連携し、症状の観察や緊急処置などが受けられるので、安心して在宅医療を継続できます。

在宅医療にかかる費用

在宅医療では、介護保険や健康保険制度を利用でき、費用を安く抑えられます。保険料の自己負担額は、年齢や疾患、障害、介護度などによって異なるものの、入院するよりは費用負担が少ないです。また、在宅医療を導入することで、医師の定期的な訪問診療が受けられるため、病院まで通院する交通費がかかりません。

 

どのようなサービスを導入するかによっても、費用は異なります。在宅医療によるサポート内容は、訪問診療、訪問リハビリ、薬剤師の訪問など実に多様です。

 

サービスをたくさん頼めばその分、費用負担は大きくなるので、必要なサービスを予算内で調整することが大切です。サービスや料金に関して分からないことがあれば、ケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。

 

また、下記の記事で在宅医療にかかる費用について詳しく解説しています。ぜひ本記事と併せてご覧ください。

 

訪問診療にかかる費用とは?対応可能な範囲や条件もあわせて解説

 

まとめ

在宅医療は、定期的な診療が必要であるものの、通院による心身への負担が大きい患者様のための制度です。また、訪問診療とその他の介護サービスを兼用することで、ご家族の介護の負担も軽減できるでしょう。

 

在宅医療を選ぶ際には、メリット・デメリットを理解し、患者様とご家族が納得できるよう、よく話し合うことが大切です。ぜひ本記事を参考に、在宅医療について検討してみてはいかがでしょうか。

また、梅本ホームクリニックでは、最先端技術を用いた在宅医療を提供しております。無料の電話相談を受け付けておりますので「在宅医療を利用してみたい」と思った方は、お気軽にご相談ください。

 

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